近年、目立たないので人目を気にせずに治療できることや食事の際に取り外しできるので生活への負担が少ないことから人気が高まっているマウスピース矯正。矯正治療は長期間の治療にもなるので、初めてだと不安も大きいと思います。そこで今回は歯医者でマウスピースによる矯正を行う時の治療までの流れと注意点についてご紹介します。
マウスピース矯正を行う時の流れ
マウスピースによる矯正治療は、年単位での治療期間、また、一部の例外を除いて保険適応外の治療になるため、60万円〜100万円程度の高額治療ということから治療への不安も大きいと思います。そのため治療に入る前に十分な説明を歯科医から受けて納得する必要があります。そのため、マウスピース治療では、治療開始前にカウンセリングを行い、その後、歯の状態などを検査して、綿密な治療計画作り行った後、患者と医師の2人3脚で治療を行っていきます。
STEP①カウンセリング
歯並びを直したい理由は人それぞれだと思います。どうして歯並びを治したいのか、どう歯並びを治したいのかということから、治療に関して不安に思っていることなどを医師に相談しましょう。
簡単に現在の歯並び状態や患者さんの要望に合わせて、医師からマウスピース矯正の詳細(メリット・デメリット)や想定される治療期間・費用の目安が行われます。マウスピース矯正は長期間かつ高額な治療です。後から後悔することがないように、不安に思っていることなどすべて遠慮することなく、相談するようにしましょう。
STEP②精密検査
治療について説明を受けて、その内容に同意したら精密検査を受けましょう。カウンセリングは基本的には無料ですが、精密検査からは5万円前後の費用がかかるのが一般的です。
精密検査の内容には、歯の動きや顎の骨を確認するための頭部レントゲン、歯列全体を撮影するレントゲン、さらに、より正確にデータを測定するとともに、患者にもわかりやすく説明できるように3DCTスキャンなどでの3Dシュミレーションが行われます。この精密検査の結果をもとに、治療計画が作られ、具体的な治療の期間や費用が決定します。
小さいお子さんの場合では、状態によっては最適なタイミングに至るまで経過を観察し、治療を開始するまで待つこともあります。また、虫歯や歯周病など、既に口腔内に別の疾患を持っている患者さんでは、矯正治療に入る前にあらかじめ治療が必要な場合があります。さらに、元々の咬み合わせや歯並びの状態によっては、矯正治療よりも先に抜歯をする必要がある場合もあります。
STEP③マウスピース製作
治療を行うことが決まれると、マウスピースの制作に進みます。近年のマウスピース制作は、デジタル設備で患者のデータを測定し、そのデータをもとに専門機関で制作されて後日届くようになります。あなただけのオリジナルマウスピースができあがりです。
STEP④治療開始
マウスピースが完成したら、いよいよ治療開始です。矯正用のマウスピースは「インビザライン」をはじめ様々な種類がありますが、その多くが定期的に交換するタイプになっています。例えばインビザラインは、約2週間に1回での交換になります。装着時間も種類によってことなりますが、だいたい一日20時間以上の装着が必要になります。
1ヶ月〜3ヶ月に一度の頻度で通院し、状態の確認やメンテナンス、治療計画の変更などを行っていきます。治療開始の頃はマウスピースに慣れずに不快感や吐き気をおぼえる人も少なくありませんが、徐々に慣れていきます。一向に収まらない場合は主治医に相談しましょう。
STEP⑤保定期間
マウスピース矯正によって歯を動かしたら治療完了というわけではありません。歯が理想の歯並びになった後は、歯が元に戻る「後戻り」を引き起こさないために、1〜2年程、リテーナーと呼ばれるマウスピース型の保定装置を着ける必要があります。これは歯を動かすのではなく、歯を留めるのが目的になります。この時期は3ヶ月〜半年に1回などの通院が必要になります。
マウスピース矯正を行う時の注意点
マウスピース矯正を行う上で、「うまくいかなかった」「治療できなかった」などの自体に陥らないために事前に以下のことは知っておいていただければと思います。
マウスピース矯正がうまくいくかどうかは自分次第
マウスピース矯正のメリットに自由に取り外しできることがあります。そのため、矯正期間中でも食事の際や重要な仕事の際などにも取り外せるので、日常生活への負担が少なく済みます。一方で決められた時間装着せずに矯正がうまくいかない場合もみられます。ルールを守ってマウスピースを装着し続けれるかどうかが治療の結果に関わっており、それは自分の意志次第です。マウスピース矯正を成功させるためにはキレイな歯並びを手に入れたいという強い意志が必要になります。
マウスピース矯正では治療できない症状がある
マウスピース矯正では治療できない症状があることを知っておきましょう。例えば、下の前歯が上の前歯より前に出ている「受け口」と言われる症状の中でも原因が顎の骨がずれていることにあるケース、抜歯が必要なくらい激しく歯が乱れているケースでは、マウスピース矯正では、治せないとされています。その他歯を大きく動かす矯正にはマウスピースは不向きです。
また、日本ではマウスピース矯正に治験がある歯医者が少なく、マウスピース矯正の技術が少ないため、施術できる症状がすごく狭い場合があります。マウスピース矯正で失敗しないためにも、医院選びはとても重要といえます。
虫歯や歯肉病があると治療できないことも
虫歯や歯肉病などの疾患があるとすぐに矯正を始められない場合があります。いつまでに矯正を成功させたいと思っていても、計画通りに治療を始められないケースもあるので、マウスピース矯正を検討している場合は、早めに歯医者に相談しましょう。
まとめ
マウスピース矯正は長期間かつ高額な治療なので、不安も多いと思いますが、最初にしっかりとカウンセリングを行ってくれるので、その際に不安に思っていることをなんでも聞いて、治療に入るようにしましょう。治療は精密検査の結果をもとに、治療計画が作られ、オーダーメイドのマウスピースを定期的に交換しながら進められていきます。マウスピース矯正では治療できない症状があったり、虫歯などの疾患ですぐには治療が行えない場合もあるので、マウスピース矯正を検討している人は屋は早めに歯医者に相談しましょう。