「オーダーメイドのマウスピースが欲しいけど、保険は効くの?」「矯正治療は保険適用外だから、他のマウスピースも保険適用外なのでは?」と疑問を持っている方もいらっしゃると思います。この記事では、歯科矯正やいびき対策、歯ぎしり対策、スポーツ、美容目的用のマウスピースがそれぞれ保険適用範囲内なのか?ご説明します。
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目次
- そもそも医療保険はどんな物が適用範囲内・適用範囲外なの?
- 歯医者でマウスピースを作るときは保険適用されるのか?
- いびき対策用のマウスピースについて
- 歯ぎしり用のマウスピース
- 矯正用のマウスピース
- スポーツ用のマウスピース
- 美容目的のマウスピースについて
- まとめ
そもそも医療保険はどんな物が適用範囲内・適用範囲外なの?
「日本は歯科矯正が保険適用外だからなかなか普及しない」なんて言葉を聞いたことがありますが、そもそも医療保険の範囲はどのように定められているのでしょうか。
医療保険制度の説明を見ると、次のような基準が定められていることが分かります。
単なる疲労、二重瞼の手術、ホクロ、ソバカスとりなどの美容整形、近眼の手術、先天的の皮膚の病気、正常な妊娠、お産、これからの場合でも、特に仕事や日常生活に支障のあるもの、例えば、斜視で仕事に支障を来すもの、他人に不快感を与えるワキガや後天的の女子の顔のシミ、つわりが特にひどい場合など保険で診療を受けられます。
(参照:https://www.shaho.co.jp/shaho/shop/usr_data/sample/13016-sample.pdf 閲覧日:2018年8月3日)
このように、一見保険適用外になりそうな症状でも「仕事や日常生活に支障のあるもの」は保険で診療が受けられ、治療に必要な薬や道具も保険の適用範囲内になります。
歯医者でマウスピースを作るときは保険適用されるのか?
用途と症状によります。保険が適用される可能性が高いのは、いびき対策用のマウスピースと歯ぎしり対策用のマウスピースです。
いびき対策用、歯ぎしり用、歯科矯正用、スポーツ用のマウスピースに関して、それぞれ保険が適用されるかについて記載します。
いびき対策用のマウスピース
内科や睡眠外来で「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の診断を貰った場合、保険適用の範囲で治療が受けられます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が止まる疾患です。本人は気付いていないことも多く、未治療の患者が多くいると予測されています。
費用
状態によっても異なりますが、8,000円前後で作製できるところが多いです。(3割負担の場合)
なりやすい人
睡眠時無呼吸症候群(SAS)になりやすい人の特徴は、たばこを吸う人、お酒を飲む人、暴飲暴食気味の人、糖尿病や高血圧の傾向がある人など不摂生な生活をしている人です。
主な症状
寝ている間の症状としては、呼吸が止まる、寝汗がひどい、息苦しさを感じる、何度も起きてしまう等が挙げられます。起きている間の症状としては、頭が痛い、疲労感が取れない、寝起きが悪い、集中力が続かない等が挙げられます。
どうして睡眠時無呼吸症候群(SAS)は怖いのか?
日中に影響が出るだけでなく、日々の積み重ねによって心不全や不整脈、高血圧などの症状が出る確率が高くなります。これらに移行する前に、マウスピースや薬、生活習慣の改善等で治療する必要があります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は疾患なので、保険適用範囲内で治療が受けられますが、診断がつかない人は保険適用にはなりません。「単純ないびきだけどオーダーメイドのマウスピースが欲しい」という方は保険適用にはなりませんので、全額自己負担で購入する必要があります。
歯ぎしり用のマウスピース
歯ぎしり用のマウスピースも保険適用範囲内になる可能性が高いです。歯ぎしりのために顎関節症が発症またはそのリスクが見られる場合であれば、健康保険の適用になります。歯ぎしりも自分で気づくことは少なく、パートナーや友達から指摘されて気づく人が多くいます。
費用
5,000円程で作れることが多いです。(3割負担の場合)
どのような悪影響があるか?
歯に力が入ることで、歯にヒビが入ったり、割れてしまうこともあります。歯そのものだけでなく、歯周病の悪化や骨の変形、顎関節の悪化、頭痛の原因にも繋がります。
保険適用で渡されるマウスピースはどんな形状?
歯型を取って作りますので、歯全体を覆う形になります。市販の物は下の歯全体に装着し、前歯・両奥歯の3点で固定するタイプが多いことと比較すると、病院で作った方が効果がありそうなのは明らかですね。ご自分の状態が保険適用になるか?調べるためにも、ぜひ一度受診してみましょう。
矯正用のマウスピース
矯正用のマウスピースは、特定の疾患や顎変形症の手術前後に伴う場合などの例外を除いて、残念ながら保険適用外です。海外では矯正治療は保険範囲内になる所も多いのですが、日本は適用外。だから日本人は矯正を渋り、歯並びが悪いままの人が多いと言われています。100万円前後するワイヤー矯正も適用外なので、どの治療法を選んでも自己負担で治療することになります。
スポーツ用のマウスピース
保険は適用されません。スポーツ用のマウスピースを作る時にはスポーツ歯学に詳しい医師のいる病院を選び、相談してみましょう。保険適用外ですが、スポーツ用のマウスピースは10,000円〜30,000円程度で購入することが可能です。
美容目的用のマウスピース
保険は適用されません。インターネットやドラッグストアに行くと安価で販売されています。小顔やシワ対策のマウスピースであれば、オーダーメイドの必要はなく、市販のマウスピースでも十分でしょう。
まとめ
同じマウスピースでも、用途や症状によって保険が効くかどうか変わってきます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)や顎関節症などの症状を改善するためのマウスピースであれば保険適用になります。それ以外の場合は、矯正やスポーツ用マウスピースなど、保険適用外になります。